【Z・特別講義 1】


[真空管アンプの音質について]


1.真空管に関するご質問
Audioに関するアンケートの中で真空管に関する質問を沢山頂戴しました。
メーカー名を上げて直接云々する質問には残念ながらお答えする事は出来ませんが、大半の
ユーザー様が疑問に思っている内容について、工学的な立場から解説を試みてみました。
この解説の内容が全てを言い表している訳ではありませんが、真空管の何たるかを知る手がかりにして頂けたら幸甚です。


ご質問の中で多かったのが下記の2点でした。
(1)真空管は出力の値の割には大きな音がする。
(2)真空管独特の柔らかい響きは何故か。
主にこの2点に的を絞り、真空管と半導体の違いを論じて行きましょう。

2.真空管と半導体との違い
各々の特徴を比べ、その実態を知る事で、疑問への手がかりを探ってみたいと思います。

(1)増幅原理
真空管は、電圧量を直接増幅する機能を備える一方、半導体は入力された電圧を、電流の大小
に置き換えて電流増幅し、これを電圧変化として取り出します。
真空管式電力増幅器(AMP)は、駆動する電圧値が数百V(ボルト)単位で考える処、Audio用
半導体AMPではせいぜい高くても30V程度から最高でも100V以下の領域を扱います。
この意味は、電力量で考えた場合、P=電流×電圧×時間ですから、時間内の電力消費量が同じ
なら、真空管は電圧を大きくして、小さな電流の変化でAudioエネルギーを扱う事になります。
一方半導体の方は、電圧が低い分大きな電流を流してAudioエネルギーを扱う事になります。
筆者は、この電流エネルギーを超高精度で扱う場合、電圧エネルギーに比べて実装上のハードル
が極めて高い
と言う、今まで語られる事が少なかった視点を、提起したいと考えます。

(2)電力増幅器の特徴比較
電力をスピーカーに供給する手段として、真空管は出力トランスを介して結合します。
増幅したAudio電力エネルギーを、効率良くスピーカーに供給する為には、この出力トランスが
必須となります。
その理由は、扱う電圧が数百Vの為に、これを直接スピーカーに供給できない事と、真空管式の
AMPは、その出力抵抗(インピーダンス)は数kΩと大変に大きく、インピーダンスの小さい
スピーカー(4Ω~16Ω)を直接駆動出来ない(電力が上手く伝達出来ない)からです。 
そこで変圧器を使ってインピーダンス マッティングと言う事を行います。

半導体式AMPは、電圧は低いのですが沢山の電流を流す能力があります。
電流が沢山流れる・・この意味は抵抗が小さいと言う事を意味します。
つまり、半導体式AMPの出力抵抗は、非常に小さい事を意味します。
よって、4Ω~16Ωの小さい抵抗に対して、インピーダンス マッティング用出力トランスを
用いずとも、電力を効率よくスピーカーに送り込む事が出来る訳です。

(3)音質へ与える影響
真空管式電力AMPの場合は、この出力トランスが音質を大きく左右する要因となります。
そしてスピーカーは定電圧駆動を大前提として古来より設計されております

この出力トランスは、物理特性上の特徴として、低音領域に於ける電力を損失なく伝送する事が
大変に苦手
です。 この点では半導体式AMPには遠く及びません。
では何故小さい出力電力で大きな音が出るように感じるのか?と言う疑問が湧きます。
そのからくりのご説明は、若干お待ちいただくとして、真空管と言う素子の持つ特徴を音質面
から探ってみましょう。

(4)増幅素子の物理特性
真空管は電圧を直接増幅する能力があり、半導体は電流量の形で増幅しそれを電圧に変換すると
述べました。
この各増幅素子に於ける物理特性には、大きな性能格差が存在します。
最大の違いは、20~100kHzの信号帯域を増幅する場合、真空管は回路的な補正をかけなくても、
フラットな増幅能力が得られる
と言う特徴があります。・・図-1参照
つまり、俗に言われるネガティブフィードバック(NF)をかけなくても十分実用になる増幅性能
を有しております。
一部少量生産のAudio機器に、俗に言われるNon-NF対応の商品が存在します。

一方半導体式AMPの場合は、このNF技術無しには商品化は不可能と言える程度の物理性能しか
有していない・・と言う事です。
分かりやすく申しますと、上記信号帯域内での電流増幅能力は、遠く真空管には及ばず周波数
方向の増幅度特性がフラットにはならず
、従ってこれをNF技術によってフラットに矯正して
使わざるを得ないと言う物理特性を本質的に持っております。
少し専門的な解説になりますが・・
電流帰還を前提とした多段増幅回路の構成でないと、電圧使用効率が極度に悪く、元々Non-NFの考え方が 導入出来ないのが実態です。(回路が増幅機能を果たす為の動作基準電圧点の設定が出来ない)
仮に作ったとしても恐ろしく不安定性な動作となり、商品として適さない代物となります。

このNF補正には、電力ドライブ回路の最終出力段から入力信号段に向かって、回路全体にNFを
かけるオーバーオール帰還
と、増幅素子一個一個毎に各々局部的にNFをかける局部帰還
(セルフ帰還)が存在します。(真空管も同じ)
半導体式増幅器は、このセルフ帰還とオーバーオール帰還の組み合わせの上で成立します。
つまり、このオーバーロール帰還によって周波数特性がフラットになる設計を致します。
もうお分かりですね・・
真空管はNFと言う補正をかけなくでも、Audio信号を増幅する為の十分な性能を有しており、
このNFをかける前の周波数・振幅特性を、裸Gainの周波数特性と申します。
つまりNFと言うお化粧を施さなくても、十分な物理性能を有している次第です。
ここに真空管式AMPはNon-NFで商品化出来る根本理由があります。

半導体式AMPは、この裸Gainの周波数特性が真空管比で劣る訳です。
(この特性は、お示し出来ませんので悪しからずご了承下さい)
半導体式AMPでも、この裸特性を改善する為に、あらゆる努力が成されております。
この裸特性が優れている程、音質が優れる事は広く知られております。
最近のご時世では、半導体産業の衰退により優れた増幅素子の入手が困難になりました。(涙)

(5)NFをかける効果
NFをかけると概略以下のような利点があります。
1)ノイズが下がる
2)出力抵抗(インピーダンス)が下がる
3)歪が小さくなる・・図―2参照
4)周波数特性が良くなる・・図-1参照
これらの物理特性はNF量に比例して改善されます。
真空管は薄化粧して、十分なAudio性能を有するAMPが構成出来る一方で、半導体式AMPは、
かなり大きいNFをかけないと実用になりません。
つまり、厚化粧をたっぷり施して、真空管並みの物理特性を得ている次第です。
このように、高い周波数の電流を増幅すると言う事は、大変に骨が折れる事なのです。


このNF技術の持つ欠点は、増幅回路が発振しやすい・・と言う危険性に常に付きまとわれます。
この事から、半導体式増幅器はマニアの方を除き、一般の人が組み立てても満足に動作するよう
に制御する事が不可能であり、手が出せない本質がここに存在します。
マニアの方でも各種計測器が無いと、満足な動作を得る増幅器を作る事は不可能と申せます。

(6)真空管の増幅度と周波数特性
真空管はこのNFをかける前の裸の増幅性能が優れる故に、音質として表現するなら・・
(1)柔らかい
(2)すなお・自然な感じ
(3)長時間聞いて疲れない
等の表現として評価されます。
この真空管式の持つ基本的音質傾向に加えて更に、出力トランスの存在が関与しております。
それは、図-2に説明します出力と歪特性との関係が大きく係って来ます。
真空管式AMPの裸Gin周波数特性と、これにNFを約10dBかけた時の特性例を下記に示し
ます。(筆者宅のAMPの測定例)



NFをかける事によって、再生帯域が拡大している事が分かります。
フラット位置から-3dB低下する処の周波数を遮断周波数と申します。
この値はNon-NFでも約70kHzであり、かなり優れた特性を示しております。
NFをかけると、軽く100kHzを越えます。(NF有り時の出力は1W相当時のカーブです。当然パワーを
上げると、特に低音領域で大きく低下します。)

(7)半導体の音質傾向
半導体式AMPの音質傾向の表現は・・
1)硬い 
2)線が細い・・は透明感の評価にも繋がる項目。
3)シャープでピーキー
4)長時間聞くと疲れる
等の表現として現れます。
既に述べた如く、半導体式でもこのオーバーオールのNFをかける前の裸のGain特性を改善
すれば、真空管と同じく良い音質の増幅器にする事が可能です。
市販されている半導体式AMPは、このような努力が成されております。
1台数百万円もする超高級AMPは、この裸特性を改善する為の部品をふんだんに使い、且つ半導
体ならではの、低インピーダンスドライブ能力の向上を、徹底して図る設計が成されております。

分かりやすく申しますと、真空管式AMPでは実現不可能な、超低域をパワフルに駆動する
性能を限界まで引き上げ、且つ半導体式の持つ中高音の音質傾向を、あらゆる手段を駆使して
改善し、Audio Fileに提供している次第です。
伝達する電力量に於いては、1kW(ワット)以上の電力AMPも出現しており、真空管式AMP
ではとても実現不可能なジャンルです。
巨大電力とは、巨大電流を扱う事に繋がり、このジャンルでAudio帯域内の信号を、広いダイナ
ミックレンジと優れた直線性(リニアリティー)で実現する為には、物量投入だけでなく高い
技術力と設計ノウハウを必要とします。

3.真空管式AMPのパワー感
真空管式AMPの出力は小さいのに、半導体式に比べて馬力があるように感じる・・云々の質問を
沢山頂きました。この項目について工学的見地から考えてみましょう。
筆者の個人的な見解である事を予めお断りします。
この現象は、物理的特性上は大きく2つに分けて考えると説明が付き易いと考えます。
1)出力トランスの存在 2)歪みの変化特性
まず、半導体式AMPと真空管式AMPの歪の変化特性の違いから解説します。
図-2の歪特性をご覧ください。 



このグラフは、AMPの出力変化に対して歪率がどのように変化するかを表したものです。
緑色のカーブは真空管式AMPのNon-NF時の特性です。
そして赤色のカーブは同じAMPにNFを施した時のカーブです。
それに対し、青色で示したカーブは半導体式AMPの歪率特性例です。
ご覧の如く、真空管AMPは出力の値に対して歪率の値が緩やかに上昇して行きますが、半導体式
AMPは逆に歪率は低下して行きます。 そして出力が飽和する直前で急激に増加する傾向を示し
ます。 このように緩やかに歪が増加するカーブをソフトディスト-ション特性と言い、逆に
シャープに歪が劣化する特性をハードディストーション特性と申します。
一般的に、歪率とは100の成分中に歪成分が1含まれていたとすると、これを比で表して%で
表示します。 1/100は1%となります。(詳細は別途解説の予定)

3)歪の解説
この歪特性グラフから、何故聴感上でパワー感に差が出るか?と言う疑問です。
1%以下の領域では、真空管も半導体式も音色の差は明らかに出ますが、聴感上の歪感として
検知する事は、不可能と言う研究結果が存在します。
1%以上の領域を詳しく見て見ましょう。
人間の聴覚特性を考えた時、例えば検出限界を超えて歪んだと仮定しましょう。
しかし瞬間的に例えば1%以上歪んでも大半は認知されず、連続して歪が1%を超える領域では、
検知出来る傾向を示すようです。
そこでソフトディストーションの場合、歪の増加率が元々穏やかですから、例え歪んでも認知
されにくい傾向を示します。

それに比べ半導体式は、歪が有るか無いか的な変化を示しますので、歪むと即分かる傾向を示し
ます。
真空管式AMPの場合、例え歪んだとしても出力トランスを経由して信号が伝達される故に、
この歪成分(高調波成分)の内、耳に付き易いエネルギー成分奇数次高調波が、トランスの
内部で減衰してスピーカー側に出て来にくいと言う特徴を有します。
一方半導体式AMPはトランスが無い分、歪んだらストレートにスピーカーに伝わります。
この二つの要因が重なり、真空管AMPは歪んだ時に、耳に付きにくい傾向を示すと考えられます。
それと、真空管独特の柔らかい低音の響きが、あたかも馬力があるかの如くに、錯覚させている
かも知れません。(8頁の7項を参照)

当然低音の周波数帯域に於けるドライブ能力は、半導体式AMPの方が圧倒的に優れております。
歪検知限界をごく短時間でも超えると簡単に歪として検知されるのが、半導体式AMPの特徴です。
図-2のブラフから、1%以下の領域での音質傾向としては、歪が小さいと透明感と言う評価
項目に大きく関係して来ます。
真空管式AMPは、半導体式AMP比で歪は大きいのですが、上記が如く歪の奇数次高調波がスピー
カー側に伝達意されにくいと言う特徴から、ソフトディストーションでも十分な透明感を得られ
ているものと判断されます。
元来スピーカー自身の音響への変換歪は、最良でも0.1%程度です。
音圧を上げれば、簡単に数%に歪が劣化します。しかしパルシブな低音の音楽信号に対しては
繰り返しますが、AMPが飽和しない限り人間の耳は歪として検出されない傾向にあります。
(検知限界は個人差があります)


オルガンのような連続的な低音ソースに対して歪むと、飽和する前段階でも検知出来ます。


4. NF量と音質
高域で大きい裸Gainを有する場合、深い(大きい)NFがかけられないと言う技術的側面があります。
そこでNFをかけたい時に、意図的に高域のGainを落として発振対策をする事を位相補正と申します。
この補正をかけると音質が著しく劣化するのが一般的です。
これは、基本的には半導体も真空管も原理は同じです。真空管式でNon-NF式の増幅器が最良音質だと するマニアの方が沢山いらっしゃいます。しかし筆者の立場からは、回路ノイズ・動作安定度・
スピーカーの駆動インピーダンス低減策(ダンピングファクターを稼ぐ手段)として、NFを活用する事を
お勧めします。筆者宅の真空管AMPは10dB程度かけて運用しておりますが、NF量と音質に関しては
マニアの層の間で種々論争があるようにお見受けします。
その昔・・
歪み率改善競争と言う仁義なき戦いをAudio業界各社で繰り広げた経緯があります。
結果、物理性能は素晴らしいのに音質はまったく良くない・・と言う結論に至り、この意味の無い過当競争は急速に収斂しました。
歪と言う物理パラメーターは、透明感とか・柔らかさ・自然さ と言うような評価項目に表れ
て来ます。ですから、真空管AMPでは歪を低減して高い透明感を出す事は、設計的にハードルが高いと申せます。(出力トランス分の特性もあり、その必要性に疑問視する向きもあります。)
真空管の経年変化は意外に大きく、測定器を持って常に動作を監視しながら使う以外、適正なNF
かけて安心して装置を使う事を お勧めしたいと思います。
半導体式AMPに関しては、出力トランスが無い分その歪の高調波成分が、即スピーカー側に伝送
され真空管式にはこの面では勝てない。

5.電流路のリニアリティー
半導体式で同じ効果を得るには、電流増幅素子故に関係する周辺回路の、材料投資が巨額になる
事と、大電流のAudio信号におけるリニアリティーを確保する場合、この電流伝達ルート上の
物理特性が大変重要となります。
特にこの電流路上に磁性材料(鉄など)に電流を流す事は、御法度です!。(詳細は別途解説)
これに着目した、Audio専用の半導体・抵抗・コンデンサ等の部品が存在します。
従って、当該ジャンルへの投資金額が巨額になる故に、半導体式AMPの高級品は高価な傾向を示
します。 この延長線上で考えればスピーカーコードは音質を大きく左右する要因を含んでおり
ます。 更に大電流が故に、給電源の内部抵抗が音質に多大な影響力を持っております。
又高周波&大電流を扱うD級AMPでは、制御が困難で実装ノウハウが重要となります。
このジャンルの解説は、具体的な演算を元に解説をさせていただく予定です。(乞うご期待)

6.スピーカーの音響変換能率と駆動AMPの電力量との関係
昨今の如く音響変換能率が82dB程度しか無いスピーカーを、真空管式でドライブするのは、小さな再生音量で、音質優先のシステムを作る以外にメリットは無さそうです。
業務用モニタースピーカーの変換効率の例は106dBもあります。
82dBとの落差は何と24dBです・・この効率は電力で表しています。
電力で3dBとは、倍と半分の関係です。従ってスピーカー側の音響変換音圧が3dB大きい
なら、駆動するパワーAMPのワット数は半分で済みます。

例として、音圧82dBのスピーカーを100Wで駆動した時に得られる音圧があったとします。
これと同じ音圧を106dBのスピーカーで再生する時、パワーAMP側の必要電力量を求めてみましょう。 下記の如くの計算で求める事が出来ます。
(106-82)=24dBで、つまり電力比で1/251.1ですから、100/251.1=約0.4Wと求まります。
つまり100W-AMPで駆動する処が、僅か0.4WのパワーAMPで済むと理解出来ます。
2.5Wのシングルドライブ真空管AMPで、喧しい程の音圧が得られます。
やはり、真空管式は高い出力インピーダンスしか設計出来ないが故に、高効率のスピーカーに
少ない電力を供給し、大きい音圧を得るように工夫されている
のです。
つまりパワーを供給する能力に乏しいから、スピーカー側で音響変換能率を高くしてシステムを
構成した。この計算例の如く、映画館で再生時に必要な音圧は、せいぜい40Wもあれば十分過ぎる性能を確保出来た訳です。(聴取音圧と音響変換効率及びAMPの駆動パワーの関係は別途解説する予定)


逆も又真なりで、近年は特に半導体式により、(特にD級で顕著)ハイパワーをスピーカーに
供給出来るようになりました。
この事を良い事に、スピーカー側が胡坐を掻いて(さぼって)変換効率をわざわざ落として
その分を音質改善に回した・・と言う歴史的な事実があります。
省エネを云々するなら、スピーカー側の変換効率を元に戻し、更に同時に音質改善を行う方向に進むのが、本来の発展方向だろうと筆者は考える次第です。

事実、1956年製造の我が家のスピーカーは高効率(98dB)にして、高音質の点音源(同軸2Way)
を実現しております。
この意味では、スピーカー屋はこの半世紀以上に渡り眠っていた・・と言わざるを得ません。
ある意味で音響変換方式の技術開発は、半世紀前に既に完成の域に到達していたかも知れません。


7.スピーカー側の逆起電力の問題
逆起電力とは何か・・
スピーカーのボイスコイルは磁界中で運動します。
これを逆読みすれば発電機にも早変わりする事になります。
振動エネルギーは、エネルギー供給を停止すると、今度は発電機に変身します。
このスピーカー側からAMP側に発電されて、戻って来る電圧の事を逆起電力と申します。
モーターもまったく同じ事で、回転しながらその両端に大きい逆起電力が発生します。
これをダイオードで吸収しておりますが、スピーカーの場合この電圧を吸収すると、振動停止側に作用します。 分かりやすく申しますと、発電されたエネルギーをショートする事で振動停止制御が出来る事になります。
このショートの役割を、パワーAMP側の出力インピーダンスが担っております。
分かりやすく解説すれば・・
エネルギーを注入し振動が発生し音圧に変換する。
エネルギー注入を停止する。
その時点でスピーカーはまだ振動を続けようとする。(エネルギー保存の法則)
振動を続けたら発電機に変身する。
この電圧を電力増幅器側で吸収する(ショート)・・つまり余分な振動を止める。


具体的には、余分な振動エネルギーを至近距離で吸収すれば、シャープに振動を停止させられる。
つまりキレの良い律動感ある重低音が再生できる事に繋がります。
これは出力トランスを使った真空管では真似が出来ない領域の話です。
重たい振動板をハイパワーで振り回す意味は・・単に素早い振動を与える駆動力だけでなく、
素早く止める事も必要な次第です。
その意味で、能率が悪く振動系の質量が大きい近年型スピーカーを、真空管AMPで駆動する場合
ブレーキがかからないので、低音のシャープさに欠ける方向に作用すると申せます。
それも音質だと申せば、それまでですが・・
制動のかからない低音でパワー感を感じている? かも知れませんね


特に真空管向けスピーカーは変換効率が高く、その分振動系が軽く出来ており、更に高効率化
する場合、ボイスコイルに高い磁力線密度を与える必要上、強力なマグネットを必須とします。
この意味は、強力な磁力は振動を停止させる役割も合わせ持つ事に繋がります。
その分逆起電力が小さく、真空管側の逆起電力吸収能力が欠如しても、総合的に問題ない相性と
申せます。 つまりスピーカーと駆動する電力AMP側との相性が存在します

特に近年発展が目覚ましい、D級AMPは業務用の世界でも急速に普及しております。
特にハイパワー化と、制動能力に優れるこの方式は重宝されているようです。
筆者としては、300WクラスのD級AMPをスーパーウーファーの駆動用AMPに使う事を、下記
の理由で推奨します。
・原理的にウーファーの再生帯域に於けるAMPの歪特性が、特に優れている。
・出力端子の駆動インピーダンスが低いので、上記の逆電圧吸収能力に優れる。
(重いウーファーの振動系に対し、余分な振動を早く停止させられる)
・AMPの電力変換効率が高い。 
特にアナログ式AMPは小電力出力領域に於ける変換効率が悪い。下記の例を参照下さい。
( )の数値は同じ100W-D級AMPの例です。 省エネ効果が実感出来ます。
例:100Wのアナログ式AMPの例(周辺機能を駆動する電力も含みます)
 100Wの出力電力を発生する時・・損失電力量は 90W(15W)  合計 190W(115W) を消費
  10W   同上       ・・         同上  50W (5W)   ↑  60W(15W)  を消費
   1W   同上       ・・          同上  22W (4W)   ↑  23W(5W)   を消費
この損失電力は熱として空間に放出されます。
アナログ式AMPの巨大な放熱板が必要な理由の一旦が、このデータからも伺えます。

これらの良い特性を勘案して、ウーファー駆動ユニット自身の振動特性を、D級―AMPに
チューニングして総合的に音質を作り込んだ製品が、最近市場に登場するようになりました。
音工房Z様で扱われている製品も、その設計手法を取り入れております。
業務用の世界でも、まったく同様にD級―AMPを組み込んだパワード・スーパーウーファーが
登場し、特に大規模PA分野の業界で採用が始まっているようです。
別途解説致しますが、スピーカーケーブル上の伝送損失と音質の関係は、太く短く・・
これが結論です。
特にスーパーウーファーなど大電力を扱う場合、これはシステム構成上の原理・原則となります。
以上

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